本ガイドでは、会話型AIプラットフォームであるmiiboのRAGについて解説します。miiboは、人間のパートナーとして活躍し、情報提供やコミュニケーション、AI開発をサポートします。このガイドでは、RAGの概要からナレッジデータストアまで明確に説明します。ご活用いただければ幸いです。
miiboのRAG概要
AIチャットボットの精度向上に悩んでいませんか?miiboの強力な機能「RAG(Retrieval-augmented Generation)」について詳しくご紹介します。外部データを活用してAIの回答精度を飛躍的に向上させる方法と、miiboで利用可能な4つのRAG環境の特徴を完全網羅します。AIチャットボット開発の新たな可能性を一緒に探っていきましょう。
RAGとは?AIチャットボットの新たな可能性
RAG(Retrieval-augmented Generation)は、AIの持つ知識を外部データで補強し、回答の質を向上させる革新的な手法です。主に以下のような利点があります。
- 最新かつ信頼性の高い情報へのアクセス
- 明確な情報ソースの提示(エビデンスの明示)
- 応答生成コストの抑制
- AIの「わからない」という判断能力の向上
miiboにおけるRAGの仕組み
miiboでのRAGの流れは以下のようになります:
- ユーザーの発話
- 検索クエリーの生成
- 外部データの検索
- プロンプトへの検索結果の追加
この仕組みにより、AIは常に最新かつ信頼性の高い情報を参照しながら回答を生成できるようになります。
miiboで実現可能な4つのRAG環境
miiboでは、以下の4つのRAG環境を構築することができます。それぞれの特徴と使い分けについて詳しく見ていきましょう。
1. ナレッジデータストア
特徴:
- 高精度な情報提供が可能
- 導入が非常に手軽
- データの更新は手動またはAPI経由
使い分け: 社内の専門知識や製品情報など、精度の高い固有の情報を扱う場合に最適です。
2. Web検索
特徴:
- 幅広いリアルタイム情報の取得が可能
- 検索結果の精度にAIの応答が依存
- 運用コストが低い
使い分け: 常に最新の一般的な情報が必要な場合や、広範囲のトピックに対応する必要がある場合に適しています。
3. データコネクター
特徴:
- 特定のサービス上でコンテンツが完結
- リアルタイム性が高い
- サービス提供APIの精度に依存
使い分け: 特定のサービス(例:Slack、Notion)と連携したAIチャットボットを開発する場合に有効です。
4. 外部API・DB連携
特徴:
- 高度にカスタマイズ可能
- リアルタイム性が非常に高い
- 構築に専門知識が必要
使い分け: 独自のデータベースやAPIと連携し、高度にカスタマイズされたAIソリューションを提供する場合に適しています。
RAG機能を最大限に活用するプロンプト設計のコツ
RAG機能を効果的に使うためには、適切なプロンプト設計が不可欠です。以下のポイントに注意しましょう:
検索結果の参照指示:
前提データや参考資料を参照して回答してください。
エビデンスの明示:
参考とした前提データのURLがあれば、必ず出力してください。
不確実な情報の取り扱い:
前提データや参考資料にない情報については、回答を控えてください。
わからない場合は、「現在の私の知識では、応答をすることができません。」と回答してください。
これらの指示をプロンプトに組み込むことで、より信頼性の高い応答を生成できるAIチャットボットを構築できます。
検索クエリー生成プロンプトの設定
AIチャットボットの回答精度を劇的に向上させたいとお考えではありませんか?miiboの強力な機能「検索クエリー生成プロンプト」の設定方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。このガイドを実践することで、AIの回答精度を大幅に向上させることができます。それでは、miiboの可能性を最大限に引き出すための旅に出発しましょう。
検索クエリー生成プロンプトとは?AIチャットボットの性能を高める鍵
検索クエリー生成プロンプトは、miiboのRAG(Retrieval-Augmented Generation)機能の核心部分です。このプロンプトは、ユーザーとAIの会話を分析し、最適な検索クエリーを自動生成します。これにより、AIは関連性の高い情報を素早く見つけ出し、より正確で有用な回答を提供できるようになります。
検索クエリー生成プロンプトの基本構造
以下は、基本的な検索クエリー生成プロンプトの例です:
以下はuserとaiの会話です。
@{history}
上記のuserが欲している情報を見つけるための検索用のクエリーを作成してください。(5語まで)検索クエリーのみを出力しダブルクォーテーション等の記号は用いないでください。なるべく最後のユーザーの質問の内容を優先してクエリーに含めてください。
ステップ1:ヒストリーとステートを活用する
ヒストリーの活用
@{history}を使用することで、直近の会話履歴を参照できます。これにより、ユーザーとAIの対話の文脈を理解し、より適切な検索クエリーを生成できます。
ステートの活用
ステートを利用すると、ユーザーの個別情報や会話の進行状況を検索クエリーに反映させることができます。例えば:
以下はuserとaiの会話です。
@{history}
以下はユーザーの現在の困りごとです。
困りごと: #{困りごと}
会話の履歴と困りごとを考慮して、検索クエリーを生成してください。クエリーは最大4つのキーワードまで含むものとします。
ステップ2:業界別にカスタマイズする
業界ごとに最適なプロンプトは異なります。以下に具体例を示します:
Eコマース向け
以下はuserとaiの会話です。
@{history}
ユーザーの購買履歴: #{購買履歴}
現在のトレンド商品: #{トレンド商品}
上記の情報を考慮し、ユーザーが興味を持ちそうな商品を見つけるための検索クエリーを生成してください。クエリーは3~5語とし、商品カテゴリー、特徴、ブランド名などを含めてください。
医療相談向け
以下はuserとaiの会話です。
@{history}
ユーザーの症状: #{症状}
ユーザーの年齢層: #{年齢層}
上記の情報を考慮し、適切な医療情報を見つけるための検索クエリーを生成してください。クエリーは最大5語とし、症状、年齢層、可能性のある疾患名などを含めてください。ただし、確定的な診断を示唆するような表現は避けてください。
ステップ3:プロンプトを最適化する
以下のポイントを意識して、プロンプトを最適化しましょう
- キーワード数の制限
- 「クエリーは最大4つのキーワードまで含むものとします。」のように明確に指定します。
- 優先順位の設定
- 「なるべく最後のユーザーの質問の内容を優先してクエリーに含めてください。」と指示を入れます。
- 特殊文字の除外
- 「ダブルクォーテーション等の記号は用いないでください」と明記します。
- コンテキストの考慮
- ステートやヒストリーを参照するよう指示します。
ステップ4:生成されたクエリーの確認方法
- AIとの会話を行います。
- 「レポート」->「会話のログ」を確認します。
- 会話の履歴のレポートに出力された「クエリー」を確認します。
この手順で、実際に生成されたクエリーを確認し、必要に応じてプロンプトを調整できます。
ステップ5:継続的な改善
- 定期的にログを確認し、生成されたクエリーの質を評価します。
- ユーザーからのフィードバックを収集し、分析します。
- AIの回答精度や関連性を追跡します。
- 新しい情報や変化するニーズに応じてプロンプトを更新します
ナレッジデータストアの利用
AIチャットボットの回答精度を飛躍的に向上させたいと考えていませんか?miiboの強力な機能「ナレッジデータストア」について詳しくご紹介します。この機能を使いこなすことで、AIに専門知識を効率的に与え、高精度な応答を実現できます。ナレッジデータストアの基本から応用まで、実践的なテクニックをお伝えします。
ナレッジデータストアとは:AIチャットボットの知識の源泉
ナレッジデータストアは、miiboが提供するAIに専門知識を与えるためのデータベースです。これは、AIに与える情報をプールしておく、いわば専門知識のバケツのようなものです。このデータストアに登録された情報は、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の仕組みを通じて、AIの応答生成に活用されます。
ナレッジデータストアの主な特徴
- 登録した情報は自動的にEmbedding(ベクトル化)される
- データの追加が非常に手軽
- 様々なデータフォーマットに対応
- 検索結果を素早く確認可能
- API経由でのデータ追加にも対応
データの追加方法:7つの方法でナレッジを蓄積
- 自由入力
- テキストを直接入力
- URLを指定
- 指定したWebページから情報を読み込み
- ファイルのインポート
- PDF、TXT、XLSX、JSONファイルに対応
- CSVファイルのインポート
- 指定フォーマットのCSVファイルを利用
- JSONファイルのインポート
- miiboでエクスポートしたデータの再利用に最適
- Notionページからのデータ入稿
- Notionと連携してデータを取り込み
- API経由でのデータ追加
- プログラムからデータを自動追加
各方法の詳細な手順と注意点については、miiboのガイドページをご参照ください。
検索結果の確認:AIの「思考プロセス」を可視化
ナレッジデータストア上部の検索バーを使用すると、登録されたデータに対して検索をかけることができます。これにより、AIがどのような情報を参照して回答を生成しているかを確認できます。
スコアの意味を理解する
検索結果には「スコア」が表示されます。このスコアは、検索クエリーに対するデータの類似度を示しています。1に近いほど、類似性が高いとみなされます。
スコアは主に以下の2つの要素で決定されます
- 検索クエリーとEmbeddingされたベクトルの類似度
- ラベルとクエリーの類似度
実際の検索時には、スコアの高いデータから順にプロンプトに追加されていきます。
チャンク制御:より精緻なデータ管理を実現
ナレッジデータストアに格納されるテキストは、通常約1000文字ごとに「チャンク」と呼ばれる塊に分割されます。しかし、この自動分割が常に最適とは限りません。
miiboでは、[CHUNK]というマーカーを使用して、手動でチャンクの区切りを指定できます。これにより、より意味のある単位でデータを管理し、RAGの精度を向上させることができます。
例:
会話型AIとは
[ここに説明文]
[CHUNK]
会話型AIの意義
[ここに説明文]
このように[CHUNK]を挿入することで、文脈に応じた適切な情報の塊を作成できます。
FAQ
RAGとナレッジデータストアについてよくある質問です。参考にしてください。
RAG環境の選択は、以下の要素を考慮して決定するとよいでしょう
- 必要な情報の種類(専門的 vs 一般的)
- 更新頻度(リアルタイム性の重要度)
- 開発・運用のリソース
- セキュリティ要件
例えば、社内の専門知識を扱う場合はナレッジデータストア、常に最新の一般情報が必要な場合はWeb検索、特定のサービスと密接に連携する場合はデータコネクター、高度にカスタマイズされたソリューションが必要な場合は外部API・DB連携が適しています。
RAG機能を導入する際は、以下の点に注意してください
- データの質と信頼性の確保
- プライバシーとデータセキュリティの維持
- 適切なプロンプト設計
- 定期的な性能評価と改善
特に、外部データの信頼性とプライバシー保護は重要です。また、RAGの性能を最大限に引き出すためには、継続的な調整と改善が必要です。データとして管理し、プロンプト自体はコアな指示に絞ることも効果的です。
検索クエリー生成プロンプトは、RAG(Retrieval-Augmented Generation)において非常に重要な役割を果たしています。具体的には以下の機能を担っています
- ユーザーの意図を理解し、適切な検索キーワードに変換
- 会話の文脈を考慮した関連性の高いクエリーの生成
- 外部データソースから最適な情報を取得するための橋渡し
- AIの回答精度と関連性の向上に直接的に貢献
適切に設定された検索クエリー生成プロンプトは、RAGシステム全体の性能を大きく左右する要因となります。
長文の質問や複数の質問を含む会話に対処するには以下の方法が効果的です
- 質問の要約
- プロンプトに質問の主要ポイントを抽出し要約する指示を含める
- 優先順位付け
- 最新または最も重要な質問を優先するよう指示する
- 複数クエリーの生成
- 必要に応じて複数の検索クエリーを生成するよう設定する
- コンテキストの維持
- 会話の全体的な文脈を考慮するよう指示する
- クエリーの分割と結合
- 長文を適切に分割し、関連性の高いキーワードを結合するロジックを実装する
これらの方法を組み合わせることで、複雑な会話でも適切な検索クエリーを生成できます。
チャンク制御を使用しなくても基本的な機能に問題はありませんが、長文や複雑な構造のデータでは、AIの回答精度が低下する可能性があります。特に専門的な情報や多岐にわたる内容を扱う場合は、チャンク制御の使用をおすすめします。